2012/12/21Fri
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』アービンジャー・インスティチュート著
金森重樹:監修/富永星:訳 大和書房 刊
自分の身の回りで起きる人間関係の問題を解決するヒントをくれる本です。
この本は小説仕立てになっています。
とある会社の管理職が幹部と1対1の研修で幹部からは開口一番
「君には問題がある」と宣告されます。
今まで家族や同僚との関係に不満を感じていたにも関わらず、
自分のコミュニケーションに問題があることに気付いてすらいなかった主人公が、
上司との対話形式で人間関係の源である「箱」について学んでいくお話です。
対話形式で終始話が進むので、主人公にうまく感情移入でき、
知らず知らずのうちに「箱」について理解できるようになっています。
本書は人間関係やリーダーシップ等で問題を引き起こす原因は
「自己欺瞞」であるといいます。
これは自分自身に対して嘘をついている状態です。
例えば、本当は自分が失敗して職場内に悪い影響を与えているにも関わらず、
自分に都合よく解釈しているというような場面です。
自分は間違っていない、相手が悪い、環境が悪い、タイミングが悪いなどと
考えるうちに周囲との軋轢を起こし大切なこと見失ってしまうのです。
「箱」とはどのような状態なのかを会話形式で読者に伝え
「あなたは自分の気持ちに正直に生きていますか」
「小さな"箱"に閉じこもっていませんか」
「自己欺瞞に陥っていませんか」
ということを改めて考えさせてくれます。
本書を読んでいると"他責"について冷静に分析しながら、
実は自分が知らず知らず他責に陥っているということに気付かされます。
今までの人生を振り返って、なにか心の奥底をえぐられる感じを覚えました。
本書では「箱」に入った状態から抜け出すにはどうしたらいいのか、
また逆に向き合う相手が「箱」に入っているときにはどうしたらいいのか、
といったことについて分かりやすくヒントを与えてくれます。
この「箱」の存在を意識できるだけで、人への接し方が変わり、
その結果人間関係も大きく変わってくると思います。
人間関係で壁にぶつかったとき、今自分は箱の中に入っていないのか、
一度立ち止まって考える習慣をつけてみよう、と素直に思いました。
「自分の人間としてのあり方」を見つめなおすきっかけになる本だと感じました。