株式会社ElevationSpace
千葉大徳さん(制御設計/開発) 30歳
宇宙に関わる開発に携わりたい。ゼロから創造したい。地元で、そんな希望がかなった。
大学院で理系の研究を深め、「ゼロからイチを創造するような開発に携わりたい」と大手メーカーに就職した千葉さん。しかし、既存製品のレベルアップを図る案件は無数にあるものの、なかなか「ゼロからの開発」にタッチできなかった。そこで、自分の望む技術開発の仕事を志向し、転職を決意。長く過ごした北海道・東北の地に「ゼロからの開発」を任せてくれる会社はないか、と探したところ、出会ったのが2021年設立のベンチャー企業ElevationSpaceだった。千葉さんは迷うことなく同社への転職を決断。現在は小型宇宙利用・回収プラットフォーム『ELS-R』のミッション&オペレーションマネージャーとして活躍している。そんな千葉さんに、新たな仕事のやりがいを伺った。(※本記事の内容は、2022年8月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで106日間
転職前
- 業種
- 重電(防衛関連)
- 職種
- 制御設計
- 業務内容
- 制御系の設計、シミュレーション、コーディング
転職後
- 業種
- 宇宙産業
- 職種
- 人工衛星 制御設計、開発
- 業務内容
- 契約書やスケジュールなどの社外調整。推進機(エンジンのようなものの)開発、設計
自分の意欲を発揮できる場所は、2021年設立の新進ベンチャー企業にあった。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ElevationSpaceは、人工衛星内で実験や製造を行うための、小型の宇宙利用・回収プラットフォーム『ELS-R』を開発しています。私はそのミッション&オペレーションマネージャーとして、ロケット選定からカプセル回収に至るまでの、様々な課題解決・環境整備を担当しています。
ミッションに関わるのは、私を含め総勢6名。役割分担しながら開発を進めています。ELS-Rは2024年に打ち上げ予定なのですが、正直、余裕はありません。それでもみんなでスピード感を持って取り組んでいるおかげで、かなり順調に来ていると感じます。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は北海道で、東北大大学院に進みました。当時の研究テーマはバイオミメティクス(生物模倣)で、例えばミミズの原始的な動きを観察し、数式に落とし込むというもの。その数式をロボットに組み込むと、ロボットはどういう動きをし始めるのか…といった生物とメカトロのミックスのような、学際領域の研究です。
大学院の修了後、大手メーカーに就職。愛知県の工場で、主に飛翔体設計や誘導制御に携わりました。大学の専攻と直接関係があった分野ではないですが、学んだ知識は結構活かせる仕事でした。
転職のきっかけは?
私が大手メーカーを就職先に選んだのは、ミミズロボットをベースにした月の探査ロボットを開発したい、と思ったからです。大手なら宇宙分野の行っているため、チャンスがあるのではないか、と。ただ残念ながら、担当したのは自分の思うような開発ではありませんでした。
私は「ゼロからイチ」を作り出す仕事に携わりたい、と思っていました。大手メーカーにも無論そうしたチャンスはあるのですが、既に誕生した製品をどう改善するか、試作から量産までどう持っていくか、という仕事の方が圧倒的に多かったのです。それらの仕事にも面白みは感じていました。が、やはりもう少し上位の概念設計から取り組みたい、まだ世の中に存在しないものを造り出したいという気持ちがどんどん強くなり、転職を考えるようになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
大手の転職サイトに会員登録し、自分の志向に合う会社を探しました。私も配偶者も北海道の出身で、やはり北の方が馴染みやすいと感じていたので、勤務地は北海道か東北に限定しました。しかし、望み通りの開発ができそうな会社に出会えません。そのうち、いくつかの転職コンサルティング会社からオファーを頂くようになりました。その中の1社がリージョナルキャリア宮城(運営会社:リージョンズ株式会社)です。
リージョナルキャリア宮城のコンサルタントは私の要望にじっくり耳を傾けてくれ、希望に沿う企業を10社以上もリストアップしてくれました。自分で探した時はほとんど見つからなかったのに、すぐに複数の候補を提示してくれるなんて、さすがに地元に強い転職コンサルティング会社は違うな、と感じました。
今の会社に決めたポイントは?
最も自分のやりたいことに近いのがElevationSpaceだと感じたからです。現在の事業はELS-Rの開発ですが、ElevationSpaceはその先を見据え 、「いずれは宇宙ホテルを建設したい」というビジョンを持っています。宇宙ホテルを実現するには、宇宙環境を知り、月面の状況を知り、整備していかなければいけません。「そこまでやるのですか?」と尋ねたら、社長は「やる」と言明したのです。
2021年に設立したばかりの新進ベンチャーですが、その気宇壮大さにひかれ、事業計画から関わっていきたい、と入社を決断しました。せっかく入社した大手メーカーの職を辞すことに躊躇がなかったわけではないですが、私の配偶者は「ぜひやってほしい。もしうまくいかなければ、私がフォローするから」と言ってくれました。その言葉も大きかったですね。
30年後の「宇宙時代」をリードする存在でありたい。
転職していかがですか?
とてもポジティブに働けています。「ここまで任せてくれるのか」と驚くほどで、自分もこのミッションを進める一員なのだ、ElevationSpaceの未来を担う一人なのだ、と意気に感じています。私の提案や行動によって、会社が前進することもあれば、停滞もある。そう思うと責任も感じますが、そんな仲間の一人として加えてもらったことに感謝しています。
他のメンバーも、面白い人ばかりです。持っている技術や知識もすごいし、人間性も見習うところが多い。一緒に仕事していて「そういう視点があったか」と気付かされることもたくさんあります。ここに来て、改めて自分が成長できているな、と実感します。
転職して良かったと思うことは?
自分に正直に仕事ができている点でしょうか。これがやりたい、となったらすぐ社内で共有し、実践できる。思い通りに仕事することの充実感を味わっています。
今後20~30年の間に、宇宙利用は飛躍的に進むと考えています。私が50代を迎える頃には、一般の人々が宇宙を利用する機会もぐんと増えるでしょう。そうした時、ElevationSpaceが先頭に立って宇宙利用を引っ張る存在となっていれば最高ですね。それが実現できるよう、私ももっと努力し、成長したいと思います。
困っていることや課題はありますか?
今の仕事は、自分で時間の有効な使い方を考えていかないといけません。そういう進め方に自身をうまく順応させるのが、課題といえば課題ですね。
生活面の変化はありましたか?
仙台に住んでいますが、東北の暮らしはいいですね。気候も風土も良く、混雑は少なく、利便性は高い。とても気に入っています。
最近、子どもが生まれたんです。すると「できるだけ子どもの面倒を見られるように」とテレワークを勧めてもらえ、今は週3~4回くらい在宅勤務をしています。子どもが小さく、配偶者が買い物に出る時間を見つけるのも苦労するくらいなので、夫婦で分担できるのは助かっています。
また、職場は東北大学のキャンパス内で、学生時代に戻ったかのように新鮮な気持ちで日々を過ごせています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職コンサルタントとの面談の時、受け身にならず、自分のこだわりや希望は前面に押し出して伝える方がいいと思います。「こんな要望まで実現するのは難しいかな」と妥協する必要はありません。何を重視しているのか明確に伝えてもらった方が、コンサルタント側も紹介先を見つけやすいはずです。要望が曖昧であると、ピンと来る会社に出会うまで時間がかかってしまいかねません。遠慮せず、コンサルタントを信頼して希望を伝えてください。