採用が経営を変えた瞬間 代表取締役社長 今野 均氏

地域資源の「点」を「面」に形作る
地域キュレーション企業。

株式会社ユーメディア / 代表取締役社長 今野 均

Vol.6

株式会社ユーメディア
代表取締役社長 今野 均

仙台生まれ。地元金融機関、首都圏のベンチャー企業での経験を経て、2003年、現会社に入社し2014年に社長就任。現在に至る。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

更新日:2020年9月2日

地元・仙台への想いを強くした原点

新卒で入社した企業は金融機関でしたが、2年目に破綻。営業店の一線で地域の皆さまへのお詫びや対応に追われる大変な時期を経験しました。ですが、そんな中深夜に「塩むすび」を届けてくれるような温情をかけてくれるお客様もいて、地元の皆さんの想いを痛感した出来事でした。若いながらに思ったことは、もっと自分を磨いて、個人として信頼されなければならないということ。そのために、東京のHR系ベンチャーに転職し、24時間土日なく仕事をする中で自分でルールを作る経験を積みました。でもやはり、幼い頃から育ち、親が暮らす地元・仙台への思いが強くありました。そこで出会ったのが、今の会社です。

新規事業プロセス、創設

私がユーメディアに入社したのは2003年。単純な印刷会社として存続していくには難しい時代になることを見越して、1992年に社名を変更してから、コミュニケーション支援企業としての改革がスタートしていました。が、実情はそれほど大きく変革できない部分も多くありました。このまま生き残る道はあるだろう。でも印刷業界の常識を打ち破って、ネットワークづくりなどの行動につなげようとする前向きな発想が必要だと思いました。ある意味で業界から「?」と思われるような事をしなければ、と考えました。「うちは印刷屋だから」という縛りを乗り越えるために、入社3年目くらいに新規事業プロセスという部署を、たった3人で創設。それが社内改革の本格的な始まりとなり、徐々にイベントなど、非・印刷領域の受託が増えていくことになります。

「オクトーバーフェスト」誕生!

そうする内に、受託ノウハウをいかして「自由にやりたい、自分たちならこうする」という主体的な事業展開の気風が社内に生まれてきました。コミュニティーサイトの立ち上げもその中で生まれたもので、現在は52,000人の会員を保有する「せんだいタウン情報 machico」などもそうして生まれています。中でもエポックは、2005年に「自分たちでイベントを開催してしまおう!」と始めた、ビールの祭典「杜の都のビールまつり 仙台オクトーバーフェスト」の主催です。今ではお陰様で仙台の秋を彩る人気のイベントになり、「杜の都のワインまつり バル仙台」や「横丁フェス」などの姉妹イベントも誕生しました。こうして、地域の魅力ある資源を発掘しコンセプトを立てて主体的に情報発信するような業務を増やし、社員とともに会社を変化させてきました。

自社の価値観を確信した東日本大震災

ターニングポイントとなったのは、2011年の東日本大震災。創立50周年を迎えた翌年、代替わりを控え、ネクストビジョンというものを発表しようとしていた最中のことでした。これまで様々なメディアで情報を発信し、地域の豊かなコミュニケーションづくりの一翼を担ってきました。こんな時だからこそ、我々が果たせる役割は絶対にあると信じ、前を向きながら考え、立ち上がりました。同年のオクトーバーフェスト開催にあたって葛藤もありました。ただこの時に「なぜやる?」「本当に必要なのか?」に向き合って、自粛が続く中、元気の輪を広げようという前向きな思いで、震災直後の開催を決定。賛否はありましたが、来場者は過去最高を記録する事になります。ある意味、イベントを運営・収益化するだけなら簡単ですが「なぜやる?」「志は?」という事をこれまで社員と必死に考えながら価値観を共有していたからこそ開催でき、自分たちの思いは間違っていないと実感できた出来事でした。

ローカル、but、グローバル

今後の事業でキーワードとなるのが、「ローカルだがグローバル」ということです。地域課題を解決することが、我々の日常業務です。地域に根差すという事は、地域の仕事だけする事を意味しません。地域の好事例は、国内外の他のエリアで汎用できますし、仙台で響くクリエイティブは、世界で響くクリエイティブであるはず。コロナ禍で最近は難しくなっていますが、社員の海外出張なども出て来ています。社員には、世界における日本の競争力向上、そしてやはり地域を意識して仕事に取り組んでほしいです。観光事業、教育関連事業などの事業領域の拡大に伴い、マーケットエリアの拡大は重要な戦略になっています。幸いにも印刷業界は、日本全国に強力なネットワークが構築されています。技術や経営についての情報交換が定期的に行われるため、地域の成功事例を共有しながら自社もよりグローバルに展開していきます。

自社の投資は、街づくりへの投資

人材育成という観点においては、社内のみならず、東北エリア全域の人材に目を向けています。特にクリエイターの育成です。多彩なクリエイターが集い、新しいクリエイティブが創発され、魅力ある発信拠点になることで、地域社会に影響力が生まれると思います。 実際に、2019年には、仙台のランドマークである「勾当台公園」に地元飲食店さんとのコラボレーションによる「Route 227s' Cafe (ルート227カフェ)」をオープン。また仙台東部エリアにある自社旧工場跡地を利活用し、地域にとって新たな価値を生み出す拠点をつくる構想もあります。これらは「地域の街づくりへの投資」と考えています。今後も多面的な視点で、人材育成と地域の活性化に取り組んでいきます。 私の座右の銘は「有志竟成」。志があれば、必ず成し遂げられる、という意味です。今後も、志や価値観を共有できる仲間と共に、地域資源を活性化する取り組みにチャレンジしていきたいと思います。

編集後記

印刷会社として歩みを始めたユーメディアさん。その後グループ会社であるプレスアート発行の「せんだいタウン情報 S-style」「Kappo(仙台闊歩)」など、メディアによる情報のキュレーションを経て、いまやメディアプラットフォームという枠組みを超えた、仙台/宮城という「場」「街」のディレクションを担っていると感じます。同社やそこに働く従業員そのものが「メディア」となり、地域ブランディングを体現している存在といえ、今後グローバルシティとして地元が発展していくための欠かせない「媒体」となっていくのではないか、と期待に胸が膨らむインタビューとなりました!

文:リージョナルスタイル認定チーフコンサルタント 大石 豊

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