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「食」をベースに東北で共創圏を構築。持続可能な地域社会の発展に貢献する。

国分東北株式会社
代表取締役社長執行役員 佐藤 和宏

更新日:2023年11月15日

1995年、明治大学を卒業後、国分株式会社に入社。営業を担当した後、本社スタッフ部門へ異動。営業推進や経営企画、事業開発などを担当する。その後、フードサービス事業なども経験し、2021年、国分東北株式会社の社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

300年以上の歴史を持つ国分グループの一員。

国分グループは、創業300年を超える食品の卸売業です。1万に及ぶ仕入先から60万の商品を揃え、3万5,000社以上のお客様に提供しています。歴史の厚みに加え、取扱品目の多さと販路の広さでは、他の追随を許しません。

そんな国分グループのエリアカンパニーとして2016年に発足したのが、国分東北です。東北には、全国の人々を魅了する食材と酒がふんだんにあります。東北に根ざした食文化を知り、生産者やメーカー、小売業の方々と一体となって全国へお届けする「食のマーケティングカンパニー」として、私たちは日々努力を重ねています。

2021年スタートの第11次長期経営計画で、国分グループは「『食のマーケティングカンパニー』の進化~共創圏の確立~」をメインテーマに、「食に関わるあらゆる事業者および生活者の真のニーズを主体的に捉えて、社内外の人々と融合した共創圏を構築・発展し、食の価値創造No.1企業となる」というビジョンを掲げました。

「共創圏」とは、生産者・企業・自治体・学校など、従来の枠組みを超えた連携により、食の新たな価値を創出しようというものです。そして持続可能な社会を形成する課題に対応し、地域の発展に貢献するという狙いがあります。国分東北も、グループのビジョンに沿って、地域に合ったエリア長期経営計画を構築し、事業を推進しています。

異業種とも連携し、東北の魅力を掘り下げる。

国分における東北エリアとの付き合いは長く、約60年に及びます。その間、いろんな方々と取引を拡げてきました。一方にはメーカーや生産者がいて、もう一方には小売や消費者がいる。そのバリューチェーンの真ん中で、国分東北は役割を果たしてきたわけです。

卸売業である国分東北には、販売だけでなく、物流やマーケティングといった機能もあります。東北のバリューチェーン全体を見渡した時、当社の持つこれらの機能を必要とする人々がいます。それは一見、食と関連のない異業種かもしれません。

しかし、地域をよく知る異業種の方々と組むことで、新たな価値を見出す可能性もあります。そうやって形となった価値を、グループのネットワークを通じて全国に、国外に紹介する力も当社にはあります。東北で当社に何ができるのか、掘り下げて試行錯誤している最中です。

私が国分東北の経営を預かるようになってからつくづく感じるのは、社員が持つ、東北地方に対する愛着の深さです。地域をよく知っているし、エリアの中で独自のネットワークを形成しています。これは東北の新たな食を発見したり、異業種と連携したりする上で、大きな力になります。

表面的な情報はネットでも検索できますが、ネットワークを持った人々の掘り下げた情報は、現地で直接見聞きしなければ出てくるものではありません。地域への愛着を持っている者同士なので、連携するにも話が早いのです。社員のネットワークをうまく活かして東北の共創圏を構築し、行動を起こしていきたいと思います。

いろいろな価値を提供し、期待に応える。

当社では定期的にエリアで総合展示会を開催しています。これは、東北のお酒や当社独自のオリジナル商品、加工食品、デリカ、業務用食品など、様々なラインナップを知っていただく機会にしようという趣旨のものです。最近行なった展示会には、東北6県から約900人のお客様・関係者の方々に来場いただきました。距離があるにもかかわらず仙台まで来ていただいたことを、ありがたく思っています。

これは、諸先輩方が60年かけて地域のお客様としっかりと関係を築いてくれたおかげ、と実感します。「信用」という国分グループの社是のもと、嘘をつかず取り組んできた。そうした姿勢がベースにあるからこそ、多くのお客様の信頼を獲得できているのでしょう。今の社員も先輩方を見習い、お客様の声に応えようと地道に業務を続けています。

このような状況を見るにつけ、「いつまでも期待を裏切らない存在でなければならない」と感じます。私たちは卸売業ですが、いろんな価値を提供できる存在でないとサステナブルな地域社会の形成に貢献できません。

特別支援学校と連携し、障がいを持つ方々のインターンシップを実践しているのも、そうした流れの一つです。また展示会には企業だけでなく、自治体や、大学・高校で学ぶ学生・生徒も招いています。これも、地元の人々の関係づくりを大切に考えるからです。

各種の活動が、売上に直結するわけではありません。しかし、当社の取り組みが契機となって、東北に新たな商品やムーブメントが起こるかもしれません。そういった動きを起こせる場であろうとすることで、多くの人々から「国分は東北に必要だ」と思ってもらえるのではないでしょうか。

変化対応業だが、根っこは変わらない。

トレンドが変化する中、お客様に価値を提供し続けるには時代を先取りする気持ちが欠かせません。その意味で卸売業は変化対応業だな、と感じます。

その一方、変わってはならないこともあります。それは、「最後まで物をお届けする」という卸売業の使命です。もし災害や地震に見舞われて、私たちが物を届けることを簡単にあきらめたら、人々の生活は成り立たなくなってしまいます。そういう意味で、食品卸という事業は、社会インフラでもあると思うのです。

国分グループが300年の歴史を刻むことができたのは、「信用」を第一に、地域の隅々にまで食品を提供する役割を担ってきたからです。その根っこにある思い、果たすべき使命は、どれだけ時代を経ようと変わりません。

ビジネスは時代に対応し、変化します。でも根っこは変わらず、いつまでも地域に頼られる存在であり続ける。お客様から「安心して付き合える」と言われる存在でありたいと思います。

東北が好きで、コツコツ努力を重ねる人は活躍できる。

卸売業は、いくつもの機能があり、いろんな仕事があります。ですから当社には多種多彩な人材が必要です。「東北の食を支える社会インフラの役目を果たしたい」と当社に来る人は、能力を発揮できるでしょう。あるいは、「東北の良いものを全国に広めたい」という動機の人も大歓迎。「お酒が好き」という方でも構いません。

派手じゃなく地味だけれど、コツコツと毎日努力を積み重ねる人は、十分に活躍できます。人とのコミュニケーションがベースとなる仕事なので、人と接するのが苦手な方、定型の仕事をやっていたい方よりはじっくり腰を据え、長い時間をかけて信頼を形成していく方に向いているかもしれません。

当社ではキャリア採用の人も活躍しています。キャリア採用の方々には、入社してしばらく経った後で、困ったことはないか尋ねるようにしているのですが、みんな「大丈夫です」と笑ってくれます。中途入社だからといって変な色眼鏡で見るような社風でもないので、安心して力を発揮できるでしょう。

希望するなら、全国の別のエリアカンパニーに行く、あるいは本社を通じて海外に進出する、といったキャリアアップ制度もあります。一緒に東北の新たな魅力を開発し、発信しましょう。そして東北の発展に貢献していきましょう。

編集後記

チーフコンサルタント
菅原 大

佐藤社長がおっしゃっていた「根っこにある思い、果たすべき使命はどれだけ時代を経ようと、変わりません」という言葉が非常に印象的でした。

同社が社是として掲げている「信用」はもちろん、企業理念として掲げている「継続する心・革新する力」を言行一致させていることが強く伝わってくるようで、「国分東北の考え方の『コア』の部分」を伺えたと感じています。

創業以来、300年にわたって不変の経営哲学を脈々と受け継いできた同社の、今後の展開が楽しみです。

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