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東北から地域の未来を拓く。専門性・多様性を高め、高度な金融サービスを実現。

株式会社七十七銀行
上席執行役員人事部長 渡邉 崇

更新日:2025年7月30日

1971年生まれ。就活時は当初、広く深く専門性を追求するコンサルティング会社に興味を持ったものの、「地域に対して何ができるのか、どんな貢献ができるのか」という観点で自身を見つめ直す。地域貢献実現のためには地域金融機関が適切と考え、七十七銀行への入行を決断。1994年に入行後、卸町支店への配属を皮切りに5ヶ店の営業店と4つの本部部署を経た後、2023年6月執行役員人事部長に就任。2025年6月上席執行役員人事部長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

金融×コンサルティングのソリューションを提供。

当行は2021年度に経営計画「Vision 2030」を策定し、その中で私たちは将来の「なりたい姿」として、「地域の未来を切り拓くリーディングカンパニー」を明示しました。

具体的に言うと、金融業務とコンサルティング業務を極めるとともに、グループ事業などの非金融分野における事業領域を拡大することで地域社会の繁栄のために最良のソリューションを提供しよう、という方針です。

金融業務は銀行の根幹となる事業ですが、過去のやり方に固執したままでは環境の激変に直面する地域のお客さまの声に応えられません。そこで必要になるのがコンサルティングやグループ会社を含めた非金融分野です。

金融に加えてコンサルティングの知見をミックスさせた、従来の銀行業務の枠に囚われないより高度なサービスがお客さまの課題を解決する力となり、地域の発展を促すのです。

コンサルティングだけなら大手を含め提供可能な企業は沢山あると思います。しかし、資金面までのサポートは地域に根ざした金融を長く手がけてきた当行のような金融機関にしかできません。

「経営に関するアドバイス・交渉もするが、最後にはリスクマネーをしっかり供給」することで、地域活性化をバックアップします。

「なれる姿」ではなく「なりたい姿」を重視。

「Vision 2030」策定にあたり、私たちは経営計画に対する発想を大きく見直しました。

これまではフォアキャスト、つまり「現在がこうだから、3年後はこうなるだろう」という観点で中期経営計画を作っていました。しかし、それでは現状の延長線上を前提とした成長しか望めません。

先の見通しが立てやすい経営環境の穏やかな時代であれば、フォアキャストで良いでしょう。

しかし、少子高齢化によるマーケット縮小、企業の後継者不足、人手不足、ビジネス環境の多様化、さらに気候変動・災害対応など、経済環境が目まぐるしく変化する時代においては、現在を起点とした考え方が3年の間に通用しなくなることもあります。

そこで「なれる姿」ではなく、未来において「なりたい姿」を明確化することから始めました。

外部要因がどう変化しようと、いたずらに惑わされず、自身がどう成長したいかを追求していこうと。その覚悟を示しているのがバックキャストで策定した「Vision 2030」です。

従来と発想を大きく変えたビジョンに、戸惑った行員も少なくなかったと思います。

そのため「Vision 2030」公表後、頭取を始め経営陣が各営業店をすべて訪問し、何を狙いとするのか、行員への期待は何か、趣旨を説明して回りました。説明会では十分な時間をかけ、行員と膝詰めで意見を交わしました。

半年程度の間に行内の全組織を回ったのですが、かつての当行では考えられないスピード感だったと思います。それほど、「Vision 2030」の浸透は優先度の高いミッションだったと思います。

キャリア形成を自らの手で、多様な選択肢を。

「Vision 2030」の4つの戦略のうち、「企業文化改革戦略」があります。この戦略には、「チャレンジを評価する環境の醸成」「専門性の向上」「多様な価値観への対応」「人事・組織体系の抜本的見直し」といったワードを並べています。

この経営戦略と連動した人材戦略も2024年に策定しました。この人材戦略の理解浸透のため「行内タウンミーティング」という会議を開催しました。「なりたい姿」を目指すために人事部門として、一人ひとりにどのように変わってほしいのか、直接伝えたかったからです。

「チャレンジを評価する環境の醸成」の一施策として、ジョブエントリー制度を導入しています。従来も行内の他部署で業務体験する枠組みはあったのですが、実際に異動として「次はこの業務に就きたい」と自分で手を挙げることができる制度となっています。

もう一つ、行内での「兼業」も可能になりました。営業店にいる行員が本部やグループ会社の特定業務を経験したいと思えば、営業店に所属したまま、一定期間その特定業務を「兼業」できるのです。

いずれも、自分のキャリア形成を自身で掴み取ってもらおう、という基本的な考え方であり、行員の自律的なキャリア形成を刺激しています。

コンサル、DX、グローバル人材が不可欠。

「専門性の向上」については、事業領域の拡大を踏まえた専門性の確保に向けて行内外研修を充実させる必要があります。

しかし、それではスピード感が足りないのでキャリア採用を積極的に増やしていかなければなりません。

キャリア採用者数は年々増加しています。従来は新卒採用に比べわずか数%程度でしたが、人口減社会に突入した現在、人材の確保はさらに困難となるでしょう。

「数」に拘泥するのではなく、専門性向上につながる人材採用を実施する方が強い組織になるはずです。

キャリア採用のターゲットとしているのは、コンサルティング人材やDX人材です。労働生産性向上のためにDXへの取り組みは待ったなしの状況なので、生成AIへの対応も早急に進めていきます。

グローバル人材にも注目しています。国内の市場縮小を止めることはできませんが、海外には成長マーケットが数多く存在します。そして東北には、海外に訴求できる商品やサービスがたくさんあります。

食品や工芸品・民芸品は、海外でも高い評価を獲得するでしょう。そんな時、グローバル人材が当行内にいれば、海外市場の状況を踏まえた適切なアドバイスを提供できるはずです。

コンサル、DX、グローバルという3カテゴリーのキャリア人材を、特に重点的に採用していきます。

組織に遠慮しないでほしい。

「多様な価値観への対応」については、様々な取り組みを行っていきます。キャリア採用との関連で言うと、キャリア採用者の方々には「組織に対して遠慮しないでくれ」と強くお願いしています。

長い歴史の中で、自分達が気付かずに時代遅れになっている慣習や仕組みなどが、当行にもあるはずです。しかし同じ組織に長くいると、そうした時代遅れの対応に気づきません。

そこで、外部を知っているキャリア採用者にフラットな目で見てもらい、おかしい点は「おかしい」と発言してもらいたいのです。

様々なバックボーンを持つ人が多様な意見を述べ、改善すべきところはスピーディーに改善していく。これも多様な価値観への対応の一つです。

キャリア採用者は「どう組織に馴染むか」と腐心するかもしれません。しかし極端に言えば、馴染んでいただかなくて結構なのです。型にはまらず、経験・専門性を活かして個性を発揮してもらいたいと思います。

今度、キャリア採用者を集めた座談会も開催しようと予定しています。多様なキャリアを経て当行にやってきた人たちに、「七十七銀行のこういうところがおかしい」とざっくばらんにぶつけてもらうのです。お互いキャリア採用者同士であれば、言いづらさはないでしょう。

キャリア採用者には、自分自身を磨きたい、という意欲の高さを感じます。そういう人がそばにいるだけで、他の行員は自律性やキャリア形成意欲が喚起されます。その点をとっても、キャリア人材のもたらす効果は大きいですね。

「地域の役に立ちたい」という想いが活かせる。

私たちは、「地域・顧客の役に立ちたい」あるいは「多様な価値観を提示することで、企業変革に貢献したい」という意欲を持ったキャリア人材を歓迎します。

当行は「奉仕の精神の高揚」「信用の向上」「和協の精神の涵養」を行是に掲げています。

どのようにサービスの形態が変わろうと、銀行の発展が地域の繁栄と不可分であることは変わりませんし、そのために信用と組織内の協力体制が必須であることは言うまでもありません。この基本理念に共感してもらえるなら、存分に活躍してもらえるでしょう。

「Vision 2030」を受け、職場環境の整備も着々と進めています。企業内価値だけでなく、社会やマーケットにおける価値も上がっていくような育成カリキュラムの構築にも着手しているところです。

ですからキャリア人材も、もう一段階、あるいはさらに上の成長を図っていけるでしょう。そのプロセスの中で、新たなビジネスを立ち上げてもらうチャンスが生まれるかもしれません。

それが順調に発展すれば、当行グループ内の新業態として確立される可能性もあります。ぜひ当行で、あなたの意欲と経験を発揮してください。

編集後記

チーフコンサルタント
菅原 大

「Vision 2030」の実現に向けて、スピード感を持って変化している同行のダイナミックさが強く伝わってくるインタビューでした。

また、その変化の根幹にあるのは今も昔も変わらない地域への想いであることが伺えた時間でした。

しなやかに変化し、加速的な成長を実現させていく同行に一層注目していきたいと思うと同時に、多くの方に同行の魅力を伝え、ご縁をつないでいきたいとの想いを新たにできたインタビューとなりました。

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