株式会社コンピュータシステム研究所
高橋幸寿さん(仮名・経理) 37歳
転職したら、家族の笑顔も、労働条件も良化。「35歳の壁」にひるまないで、よかった!
高橋さんが転職を思い立ったのは、36歳のとき。東京のアミューズメント施設運営会社で経理として活躍していて仕事は順調だったが、胸にいつもあったのは、「東北に帰りたい」という想い。もともと仙台にあった拠点に入社したものの、東京への転勤生活を強いられていたのだ。子どもが生まれると、「両親に孫の顔を見せたい」「頼れる人たちがいる場所で子育てをしたい」と、Uターンへの想いはますます強くなる一方。しかし、「自分の年齢はすでに転職の壁とささやかれる35歳を超えており、地元へ帰れば労働条件も悪くなるのではないか」と不安だらけだったが、同じ東北出身の妻の応援も受けて、Uターン転職を決断。すると、当初の不安とは全く逆の結果に。「自分を必要としてくれる会社に出会え、収入も増えたんです」と、嬉しそうに語る高橋さんに体験談をうかがった。(※本記事の内容は、2018年1月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 転職回数
- 3回
- 転職期間
- エントリーから内定まで450日間
転職前
- 業種
- レジャー・アミューズメント
- 職種
- 経理・財務
- 業務内容
- アミューズメント施設を運営する企業の仙台の施設立ち上げで入社。施設の計数処理全般、監査法人・税理士対応などの対外業務を担当。全社管理本部に異動し、福岡の施設の立ち上げに従事。
転職後
- 業種
- ソフトウェア・情報処理
- 職種
- 経理
- 業務内容
- 経理部門の実務およびマネジメント。月次・年次決算業務、PL・BS管理、キャッシュフロー管理、税務事務、税理士事務所対応等。
東京での新規プロジェクトが立ち上がり、「戻るタイミングは、今しかない」と決断。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
土木・建築関係のソフトウェアを主に開発・販売している会社で、経理をしています。経理部門の係長として入社し、現在は主に月次業務を担当していますが、今後は決算業務から、税務事務、税理士法人への対応など、幅広い業務担当を目指しています。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は宮城県の石巻市です。高校を卒業後、地元のメーカーに就職し、7年半、工場で機械操作を担当していました。しかし、「このまま定年まで体力勝負の仕事なのか?」と疑問を持ち、退社。仙台市内の専門学校に入学しなおして、簿記やパソコンスキルなどを復習しました。卒業後は、仙台市内の遊技業運営会社で経理を4年経験。その後、アミューズメント施設を運営する会社で約6年働きました。その会社では、経理の実務だけでなく、新たな施設の予算組みやテナント担当者との協議、契約といった経営企画の仕事も任されていました。
転職のきっかけは?
前職では入社して2年目に仙台から東京本社へ異動になり、4年ほど働いていました。仕事内容に不満はありませんでしたが、やはり東北に戻りたかったのが転職したきっかけです。特に山形出身の妻は都会のごみごみした雰囲気が苦手でして、「戻りたい、戻りたい」といつも言っていました。子どもが生まれると、その想いはますます強くなりました。地元にいる両親に孫を見せたい、親孝行したい、と思うようになりましたし、なにかあったときに助けてくれる人がいる地元で子育てをしたい、という気持ちも湧いてきました。東京には、頼れる人がいませんでしたからね。そんなとき、東京で社運を賭けた新しい一大プロジェクトが立ち上がることになり、私も経理担当としてメンバーに選ばれました。「このプロジェクトが本格的に始まれば、またしばらく帰れなくなる…」。そう考えると、「戻るタイミングは今しかない!」と決断したんです。
転職活動はどのように進めましたか?
とにかく行動を起こそうと思い、転職サイトに登録しました。登録したのは、大手転職サイトとリージョナルキャリア宮城の2つ。リージョナルキャリア宮城は、「東北の転職に強い、って書いてあるよ。とりあえず登録してみたら?」と妻が見つけてきたんです(笑)。希望職種は経理でしたが、業種は絞らなかったので、いろいろな会社を紹介してもらいました。飲食、アパレル、メーカーなど、6~7社だったでしょうか。そのうちの2社の面接を受け、1社目はあいにく縁がありませんでしたが、次に紹介されたのが、今の会社でした。
入社を決めたポイントは?
それまで勤めていたのは娯楽に関する会社ばかりでしたので、できれば今度は「衣食住に関わる会社」という希望を持っていました。その点、今の会社はソフトウェアを制作・販売する会社ですが、土木や建築を通じて「住」をサポートしている会社なんです。しかも単なる人員補充のための募集ではなく、業務拡張のための募集であるという点にも魅力を感じました。人員補充の場合は、辞めた人がいるということ。「その会社に在籍しづらい何かあるんじゃないだろうか?」と心配になってしまいますからね。私は「次の職場が最後」と思っていたので、そうした不安がない、働きやすい環境を重視していたんです。もう1つのポイントは、面接です。私の上司になる方と話をしたんですが、とても人あたりがよく、知識も豊富。「この人と一緒に働きたい。この人に教えてもらいたい」と率直に思えたことも、決め手になりました。
帰宅が早くなり、家族との時間が大幅に増加。今の会社に骨をうずめる覚悟で一戸建ての自宅も購入。
転職していかがですか?
経理といっても、会社によってそれぞれやり方が違うので、慣れるのは大変でしたが、初めての業界ですし、やったことのない仕事も任せてもらえるので、すごくいい勉強をさせてもらっていると思います。会社の風通しもいいですね。こちらが何か提案しても、「それなら一度、やってみたらどう?」と言ってもらえますし、自分の経験や考えがいきる職場です。また、働いていて安心感がありますね。アミューズメント会社で働いていた時は、どこかで「この先も大丈夫だろうか?」という不安がありました。でも今は会社の規模も大きくなり、安定した経営基盤がありますので、家族を持つ身としてはとてもありがたいです。
転職してよかったと思うことは?
やはり家族が喜んでくれたことがいちばんですね。まずは妻が「実家へすぐに帰れる!」「両親に孫を見せられる!」と大喜び。実家の両親たちも、「孫を見せろ」と手ぐすねを引いて待っています(笑)。月に1度はお互いの実家へ帰っているんですが、目が垂れて落ちそうなほど喜んでいる両親の笑顔を見ていると、こちらも嬉しくなります。それに想い描いていた自身の労働市場価値の予想に反して福利厚生などの労働条件が前の会社より良くなりました。私の経験や能力を高く評価してくれたんです。
困ったことや課題はありますか?
プライベートの面ではまったくありません。でも仕事の面では、係長として入社したので、「前からいるメンバーたちとどうやってうまくやっていこうか?」ということには気を遣いました。経理はチームワークですからね。また将来のリーダー候補という役割を持って入社した以上、上司のスキルをいかに受け継ぎ、下のメンバーに訴えていくか、若手をいかに育成していくか、という課題はいつも感じています。
生活面の変化はありましたか?
通勤はすごく楽になりました。前は、神奈川に住み、東京の職場まで毎朝電車で1時間40分かけて通っていたんです。今はバスと電車を乗り継いでも、通勤時間は40分。帰りも、何もなければ19時前には帰宅できるので、家族との時間はすごく増えましたね。前は21時、22時に帰るのが当たり前。家族はもう寝ていたので、1人で食事をし、風呂に入って、寝るだけだったんです。でも今は家族が温かく迎えてくれます。家族の時間が増えたことが、私にとっても、翌日の仕事への励みになっています。当初は賃貸マンションを借りていましたが、最近、一戸建てを買ったんですよ。今の会社に骨をうずめる覚悟で。自分の家は、やっぱりいいですね。それも励みになっています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
思っているだけでは、何も始まりません。成功、失敗は別にして、アクションを起こすべき。その後のことは、あとで考えればいいんじゃないでしょうか。転職ではよく、「35歳の壁」という話を聞きますよね。不安もありましたが、「自分のことを必要としてくれる会社がきっとある!」と信じて行動しました。実際、今の会社も経験のある人間を急いで求めていたようで、お互いにとってベストマッチングだったんじゃないかと思います。ですから、橋渡しをしてくれたリージョナルキャリア宮城のコンサルタントには頭が上がりませんね(笑)。もちろん今回は、たまたまタイミングがよかったのかもしれません。でもそれをつかめたのは、あのとき行動したから。年齢のことや、「地元に行けば労働条件が悪くなる」といった話にひるんでいたら、今の自分はなかったんです。36歳でこの会社と出会えたんですから、本当にやってみなきゃわからない。だから悩んでいる方には、「まずは行動すべき!」とアドバイスしたいですね。