東北・新潟地域によりそい、電気事業をベースに新たな分野の価値創出に挑む。
東北電力株式会社
執行役員 ビジネスサポート本部 人財部長 荻野 隆司
1989年、上智大学を卒業後、東北電力に入社。初任地は新潟支店総務部(当時)。以降、八戸営業所長、秘書室長などの勤務を経験。管理・間接部門を中心にキャリアを積み、2022年4月より現職。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
東北・新潟地域の繁栄とともに歩んできた東北電力。
東北電力は1951年の創立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」を基本的な考え方として東北6県および新潟県の生活基盤を支え、経済発展に貢献してきました。
戦後復興期や高度経済成長期には伸び続ける電力需要に対応するため、只見川水系における水力電源開発や八戸火力発電所の運転開始など、時代や社会の変化に応じた事業を展開し、電力を安定的に供給してきました。
1970年代には二度のオイルショックを教訓に、石油火力への過度な依存から脱却しようと、これまでの火力・水力に加えて女川原子力発電所の営業運転など電源の多様化に着手。昨今では、世界的な課題である温室効果ガスの削減に向けて、再生可能エネルギーの開発や世界最高水準の熱効率を有する火力発電の導入にも取り組んでいます。
創業以来の最大の出来事と言えば、2011年3月の東日本大震災です。東北のほぼ全域が停電するという非常事態に見舞われました。この事態を受けて当社は総力を結集し、発災3日で約80%の停電を解消しました。
これは、関係各社や工事会社の方々の惜しみない協力、そして何よりも地域の人々のお力添えや信頼があったからこそ、やり遂げることができたと思っています。また、当社社員が万一の事態を想定し、日ごろから訓練を行っていた事も早期復旧に繋がりました。
最近は豪雨や風雪害などの自然災害が多発化、激甚化しています。これからも電力のプロフェッショナルとして日ごろから有事に備えつつ、地域との絆を大切にし、電力の安定供給という責任を果たしていきます。
厳しい課題を乗り越えるには、新たな発想が不可欠。
今後、電力需要は大きく伸びるとされています。背景の一つに挙げられているのが、AIの興隆です。生成AIの普及などに伴うデータ処理量の急増に伴い、データセンターがこれから増加すると言われています。同分野では電力消費の大幅な増加が見込まれ、その電力需要への対応が求められています。
一方で、政府を挙げてのカーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出を極力抑えた電力を購入する動きが活発化しており、そのニーズにも応えていく必要があります。
さらには、燃料価格の高騰という課題もあります。新型コロナウイルス感染症の世界的流行や、海外の戦争・政情不安によるサプライチェーンの分断、あるいは円安など、さまざまな事情が燃料価格を押し上げています。
当社でも2022年の福島県沖地震において太平洋側に立地する火力発電所が被災したため、代替電力の調達や復旧費用の確保が必要となり、電気料金の見直しという苦渋の決断をした経緯があります。
また、事業基盤である東北・新潟は日本で最も速く人口減少が進展する地域と言われており、地域とともに発展してきた当社としても、こうした課題に対しどう対処するかが問われています。
これからは、低廉で良質な電力を安定的に供給する責任を果たしつつ、従来の概念にとらわれず新たな課題に挑戦し、自らを進化させていくことが求められます。東北・新潟に事業エリアを限定せず、エネルギーサービスを基盤として他地域あるいは海外マーケットに照準を定め、新たな価値を創出していく動きも必要です。
既存事業をベースに新たな価値の創出に挑む。
東北電力では2020年、中長期経営ビジョン「よりそうnext」を策定し、さらに2024年には「よりそうnext+PLUS」としてバージョンアップさせています。「よりそうnext」では電力供給事業とスマート社会実現事業の二つを事業ドメインとして掲げましたが、「よりそうnext+PLUS」ではこれらが融合しつつある状況を踏まえて再定義し、5つの事業領域を設定しています。
1点目が発電・卸分野。この領域では既に述べた通り、カーボンニュートラルと経済性・電力安定供給をどう両立させるかが大きな課題です。火力・水力・原子力・再エネなど電源の多様化や、従来設備の高効率化、原子力の再稼働にしっかり取り組んでいく必要があります。
2点目が、グリーンビジネスです。これは「再エネをどう活用するか」という点に主眼を置いています。
3点目はエネルギーソリューションサービスで、電力の小売の部分にあたります。ただ売るだけではなく、省エネにつながるソリューションを通じ、効率的な電気の使い方をご提案しています。
4点目は送配電です。主力事業の一つである送配電は、電力安定供給の上では非常に重要なインフラ基盤です。東北・新潟地域という過酷な自然環境の中で安定供給を行うためには、停電発生時の早期復旧に努めるとともに、停電を未然に防ぐための新技術の導入にも積極的に取り組んでいます。
また、今後主力電源として期待される再生可能エネルギーは、天候や日照量によって発電量が瞬時に大きく変動しますので、安定したネットワークの構築と技術力の向上も必要です。
5点目は関連領域で、これは当社不動産の有効活用や、仙台にある電力ビルの再開発といったビジネスがこの領域にあたります。いま、さまざまなビジネスの芽がこの領域で育まれています。
この5つの領域の早期実現に向け、グループ企業一体となり取り組んでいるところです。
働きがいと多様性のある組織を目指し、人事賃金制度を見直し。
「よりそうnext+PLUS」では人事制度面の改革についても触れています。少子化による労働人口の減少、あるいは仕事に対する価値観の多様化といった背景から、人材の流動性や企業の採用ニーズが高まっています。このような情勢下で企業としては、人財をどう確保し、どのように成長してもらい、やりがいを持ってもらうかがとても重要です。
事業のどの領域に、どういった専門性やスキルを持った人財が必要か明確化し、そのポートフォリオを意識しながら、採用・育成・配置・処遇のマネジメントサイクルを回していく。土台には安全、健康、ダイバーシティ&インクルージョン、コンプライアンスといった考え方があります。
多様な人財がイキイキと働ける職場をつくることで、社員一人ひとりが働きやすさ・やりがいをもって働くことができ、また能力も向上させられるサイクルとなるように取り組んでいるところです。
その一環として、2024年10月に人事賃金制度の見直しを行いました。資格を大括り化し、賃金の中に役割に見合う要素を一部取り入れ、今まで以上に成果を重視した制度としました。まだ導入したばかりですが、社員からもおおむね理解を得られていると感じています。
今でこそ「人的資本経営」を掲げる企業は少なくありませんが、東北電力は1999年から「人財こそ最高の財産」という理念を明示してきました。人財を「材」ではなく「財」と表記するのも、「人は宝である」という意味を込めたからです。
会社が社員に投資し、社員が成長する。その結果、業績が上がり、企業価値が高まる。得られた利益を再び社員に投資する。こうした好循環を作ることが、人財部を預かる私の最大のミッションです。
逃げずに課題と向き合うチャレンジ精神を重視。
定期的な新卒採用に加え、今後は中途採用の比率も高めていこうと考えています。高度で専門的な技術を持つ、即戦力としてのキャリア採用はもちろん、電力供給というコア事業を担っていただける方を対象としたコアスキル採用にも力を入れています。
当社は、電力の安定供給のために必要な技能を習得する自社訓練施設を豊富に設けるなど、社内教育体制を充実させています。また、e-ラーニングなどを活用した社員が自律的に業務に必要なスキルを高められる環境もあります。
今後さらに社内教育体制を充実させ、新卒やコアスキル採用で獲得した人財の早期戦力化を図っていきます。
当社で活躍するために必要なのは、どのような状況でも安定供給を守る責任感と使命感です。これに加えて、直面する課題から逃げずにチャレンジする姿勢も重視しています。
今後当社に入社される方は、電気事業における事業環境の変化や新規事業の開発といった課題に直面する場面もあるでしょう。そこで逃げずに信念を持って果敢に立ち向かうことが、ミッションをクリアする上で大事になります。東北電力では、このような社会的意義の大きな仕事に一緒に取り組んでいただける方を求めています。